J-CLIL Primary and Secondary(小中部会) 講演会
▶日時:2023年1⽉21⽇(⼟)午後3時〜5時
▶会場:オンライン(Zoom)
フィンランドにおいて教育/研究活動されている矢田明恵先生と矢田匠先生のお二人をお招きし、ご講演いただきました。
・矢田匠先生 (University of Jyväskylä, Finland)
「多分野横断型学習を促進する教育リーダーシップの在り方」
教育リーダーシップ論をご研究されている矢田匠先生からは、フィンランドの文化的背景、フィンランドの教育システム、そして学びとウェルビーイング、分野横断のための協働について、具体的な写真や一例を交えて分かりやすくご説明いただきました。フィンランドの文化的背景として合理性、個人選択の尊重、権力との距離の近さ、社会構成主義的学習観があり、それを基にフィンランドの教育システムが成り立っていること、またそこでは学校や教員に与えられている裁量が大きいということをご紹介いただきました。さらに、学びとウェルビーイング、分野横断のための協働も大切にされており、心理的安全性を作るために教室の在り方が工夫されているということも教えていただきました。特に、フィンランドの教育の中では自己肯定感を高めること、承認して自信を持たせることが大切にされているということで、日本の教育の現場でもポジティブフィードバックを生徒に頻繁に与えることで、生徒は誰かのためになっていると感じる機会が増え、生徒の成功体験の機会が増え、ひいては自己肯定感を高めていくのではないかという示唆もいただきました。
・矢田明恵先生 (University of Eastern Finland)
「フィンランドのインクルーシブ教育および外国語教育」
インクルーシブ教育についてご研究されている矢田明恵先生からは、フィンランドにおけるインクルーシブ教育の在り方についてご紹介いただきました。まずはインクルーシブ教育という概念について、障害理解の3モデルから明らかにしていただき、その上で日本とのフィンランドの支援教育の違いについて教えていただきました。フィンランドでは障害が個人の権利と社会的公正の問題と捉えられ、教員の研修も進んでいるということなど、日本の教育の現場でも広めるべき視点をご紹介いただきました。また、環境を変えればハンディキャップは生じないという、個人の権利が尊重される環境のもと、周囲の人の発達障害リテラシーが育まれており、特別な子どもに支援計画があるのではなく、すべての子どもに個別支援計画が実践されているということを、具体的にご説明いただきました。Inclusive education is not a goal but process. Education is special for all. Not inclusive education but good education for everyone. ということがとても心に残りました。さらに、外国語教育にもこの理念が生かされているとのことで、ご紹介いただきました。
文責 J-CLIL P & S 事務局員 渡邉 聡代
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