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​活動レポート

J-CLIL 第3回中国支部研究会


9月21日(土)に夢みなとタワー(鳥取県境港市)にて開催いたしましたJ-CLIL第3回中国支部研究会のご報告をいたします。今回も第2回と同様に対面での開催となりました。内容に関しては発表者6名、聴講者4名の計10名となり、高校、高専および大学におけるCLIL教育実践報告に加え、海外視察の内容も盛り込まれた大変な盛会となりました。あらためましてお礼を申し上げます。ご発表いただきましたみなさまと活発に意見交換でき、深い学びを得ることができました。大会後の懇親会ではみなさまと親睦を深めることができました。このような盛会となったことは、ひとえにみなさまのご協力の賜物です。

 大会はまず、上杉裕子支部長(叡啓大学)による開会の言葉でスタートしました。


研究発表1は「高専の英語科目におけるCLILを重視した授業実践」と題し、報告者である堀(津山工業高等専門学校)が発表を行いました。内容としては、前半は授業内容とその目的、後半は学生主体で行う英語活動と授業との関連性について、CLILの観点から紹介いたしました。授業は学生とのやり取りを含んだ双方向性を持ったものとし、かつ、後半の学生同士の英語活動の手本となるようにデザインしております。英語活動は、教科書の一文を使用した疑問文作成、質疑応答を含んだ教科書の読み聞かせおよび単元のテーマに沿ったディスカッションです。

研究発表2では、山口裕美氏(津山工業高等専門学校)に、「内容と思考に焦点を当てた教材設定からはじめるCLIL導入」と題してご発表いただきました。前半は英語圏文学を題材に作成された教材についてのご説明でした。教材用に選定された作品は学生が問題意識を持ちながら学べるように構成されており、多様な視点から考えさせることを重視しております。後半は、山口氏が現在行っている授業についてご紹介いただきました。実際に授業で使用している教科書の問いについて、聴講者たちが実際に取り組む時間もございました。山口氏は、統合された複数の知識(学習内容)に基づく思考力を養う授業を目指していらっしゃいます。



研究発表3では赤木綾香氏 (境港総合技術高校)に「公立専門高校における生徒の発信能力育成を目指した英語コミュニケーション活動―島根大学留学生との対面交流を通して―」をご発表いただきました。県人口の減少に伴う外国人の割合の増加を背景に、英語に苦手意識を持つ生徒たちへの多文化共生社会に向けた教育についてお話しいただきました。グローバルな視点の獲得、排外意識の抑制、英語に対するイメージの向上を目的とし、島根大学の留学生および教員たちの協力のもと、境港総合技術高校では異文化交流授業が実施されております。この授業での交流を楽しみに思っている生徒もいる反面、負荷が大きい生徒もいるという結果が出ております。今後は「聞く」「話す」に興味がある生徒が多い傾向にあるため、それらの能力を伸ばす方法が課題として挙げられておりました。



研究発表4では二五義博氏(山口学芸大学)に、「メルボルンにおけるCLIL授業観察の報告」についてご発表いただきました。ビクトリア州では多言語教育が実施されており、こうした複言語・複文化主義は学習者の文化的教養を広げるために重要であると考えられます。視察の対象となった学校はHuntingdale Primary School で、日本語での授業が50%の割合を占めます。そこでは、内容と言語の両方の目標が明確にされ、また、視覚的な教材を用いることで、子どもたちの理解が深まり、記憶に残りやすい教育が実施されています。加えて、個別学習を充実させるためのクラスの人数についても議論がなされました。



研究発表5ではEleanor Kane氏 (島根県立大学)に、“Decline in Foreign Language Learning: Addressing the Challenge through CLIL”についてご発表いただきました。学生たちが既存の知識や言語のみを学ぶのではなく、効果的にContentについて思考し学ぶ方法についてご説明いただきました。発表内ではご自身で執筆された教科書内のタスクが用いられ、会場の参加者はそのタスクについてグループで取り組みました。国の名前や歴史上のできごとが記載されたカードが配布され、それぞれ1. Grouping、2. Ranking、3. Odd one outの作業を行いました。学習者はこのタスクを通して、英語と実際の人間社会とのかかわりについて多角的に意見を交換し学びを得ます。 


研究発表6では上杉裕子氏に「CLILとインクルーシブ教育 ドイツでのAll means of all教育」について、CLIL教育とインクルーシブ教育における「多様性」を共通点にご発表いただきました。上杉氏はインクルーシブ教育を行うためのオープンテキストブック作成を目的とした国際プロジェクト“All means All project”に選抜されました。プロジェクトには、異なる背景を持つ人々が参加しており、教員同士のCommunityやCommunicationを重視したプロジェクトとなっておりました。この教材開発によって生徒の多様な学習ニーズに対応できるようになります。

 

 最後は副支部長である二五義博氏による閉会の言葉で締めくくりました。CLIL教育の有用性についての知識が深まり、また参加者同士の親睦も深まる盛会となりました。


 今回の研究会もみなさまのご協力のおかげで、知的好奇心を刺激する素晴らしい研究会となりました。参加してくださったすべてのみなさまに心から感謝しています。今後とも中国支部をどうぞ応援してください。ひき続きよろしくお願いいたします。



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