J-CLIL第22回例会
11月14日(土)にオンラインで行われました、第22回例会の報告です。
日時:2020年11月14日(土)午後2時~5時 場所:オンライン(Zoomミーティング)
<発表1>SDGsと連動するiEARN (International Education and Resource Network)を使った大学でのCLIL実践報告(in Japanese)
長谷川早百合(明治学院大学・世田谷区立千歳小学校)
世界140か国・地域を超える3万以上の学校やユース組織で構成された非営利組織iEARN(アイアーン)では、ICTを通じて国連のSDGsと連動する国際協働学習プロジェクトに参加することができる。2018年度、2019年度と大学3年生の必修英語コースにてこのiEARNを使ったCLILに基づく授業を実践した。本発表では、2020年度の改良点として4Cの統合を媒介する言語に焦点をあてた春学期の実践授業について報告をした。トランスランゲッジングの考えを取り入れ、さらに学生個人に合わせたNew General Service List (NGSL)の語彙アプリ学習と複単語を記録するLexical Notebook作りを導入した。学生による期末アンケート結果と今後の課題も考察した。
<発表2>CLILの枠組みを通してSDGsを「自分ごと化」する授業実践(in Japanese)
鎌倉好男(明法中学・高等学校)
CLILの枠組みを通してSDGsを「自分ごと化」する試みは、将来、世界平和に貢献できる「社会変革の担い手」を育成することを目的としている。これらマジックワードの具現化手法として、4つのフレームワークを今年度2学期の授業実践例(Zero WasteをテーマにSDG12,13,14,15を扱う)とともに提唱する。
<教材の「自分ごと化」に向けた4つのメソッド>
授業開き前の学習傾向アンケートを活用したシラバス作成
KWHLAQ法を用いた探究型学習
「授業に貢献」をルール化した協働学習
Circle of Influence思考法に基づくアクションリサーチ
文法学習にはフォーカス・オン・フォームを用いつつ、上記のような構造主義的アプローチによりブルームの教育目標分類学における高次元思考力を育成し、目的の遂行を目指す取組みである。
<発表3>新時代のミャンマーの教員研修におけるCLILの可能性(in Japanese)
奥平文子(国際教育コンサルタント・早稲田大学非常勤講師)
本発表では、まず、ミャンマーの歴史と教育を概観した。民政移管後、現在は大規模な教育改革を展開中であるが、公立校の制度改革とともに、公教育における私立学校の設置が教育省認可の下で可能となった。
次に、過渡期の事例として、リーダー育成を掲げる小中高一貫私立校の依頼により実施した教員研修(小中高教員・全教科合同)を取り上げ、CLILの可能性を探った。4Csは、ミャンマー語(ビルマ語)と英語による国定教科書の内容理解に加え、生徒の思考力を段階的に醸成し、「個」の育成やコミュニケーション能力の伸長にも繋がる。また、教科や学年を越えた教員の連携により課題解決の糸口も見出すことが可能となる。さらに、学校の枠を越えて多民族や地域文化のコミュニティーを尊び、民主的な国づくりに寄与する人材育成にも有効であろう。
今後は、教育大学や各地の学校等との連携を深め、政策・理論・実践、地域性や社会発展を包括的・長期的に捉え、現地の主体性を尊重した側面支援を継続する中で、CLILの可能性を広げていきたいと考えている。
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